俺は撃ち続けていた。

 

 

自分が転がり込んだ入口でもあり
唯一の出口でもある場所へ向けて。

 

 

 

 

 

蛇と銃

 

 

 

銃と蛇

 

無機質なコンクリートの壁と冷ややかな鉄格子を
戦慄かせる、音。音。音。
その音にもたれるように霞む思考で、俺は考える。
ここは、どこだ?


檻が連なっていて、ひどく獣臭い。
檻の中には何もいない。大きなケモノの
寝床の気配だけ。

俺は、銃を撃ち続ける。

実を言うと銃声はあまり好きじゃない。
こんな所で撃った音はなおさらだ。
腹の底に響くし耳は麻痺しかかっている。
手も振動でしびれそうだ。
大体この行為に、意味なんか無い。

それでも
撃つのをやめられないのは、

なぜだ?

 

どこかから大きな蛇が這い出てきたので
とっさにそいつの頭も撃った。
蛇は執念深いという。
また這いずり回られるのも嫌だったから
頭を掴んで引きずった。
檻の中にでも、投げ入れてしまおう。

そう思った時、

入口に影が現れた。

 

「ボス」

俺の腕は急に弛緩した。
手持ちの弾も、ようやく切れた。
せめて撃ちきってしまいたかった。

「逃げるなよ」

聞き慣れた低い声が言った。

「檻の中に戻れ」

「嫌です」

「残念だ。それなら」

 

 

お別れだ。

 

 

 

 

 

銃声が響き俺の背中に鉄格子が当たった。
俺は

逃げるべきではなかっただろうか。

 

檻の外に
あこがれたりする 

べき 


 

 

 

 

×